台湾で続く、日系企業の食品衛生事件

台湾コラム
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今年に入り、台湾における寿司チェーン店での食中毒事件や衛生インシデントが続いている。

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台湾くら寿司でのノロウィルス

4月12日付の台湾フォーカスはこう報道している。

台湾くら寿司 新たに6人が食中毒か 全店舗で立ち入り検査へ

(新北中央社)回転ずしチェーン、くら寿司の店舗で食事をした客が相次いで食中毒とみられる症状を訴えている問題で、新北市政府衛生局は11日、新たに6人が食中毒とみられる症状で医療機関を受診したと通報があったと発表した。衛生福利部(保健省)食品薬物管理署は同日、各県市の衛生局と協力して全土の店舗を対象に立ち入り検査を行う方針を示した。

くら寿司を巡っては、先月28日、台北市の松江南京店で客4人が食後に不快感や下痢、嘔吐などの症状を訴えていたことが分かっている。また先月31日から今月10日にかけては新北市の新荘宏匯店と淡水站(駅)前店で食事をした計11人が食中毒とみられる症状で医療機関を受診したと新北市衛生局に通報があった。

新たに食中毒の疑いがあるとされた6人は、いずれも9日に新北市の店舗で食事をした客。4人が新荘宏匯店、2人が新店威秀裕隆店を利用していた。

食品薬物管理署の林金富副署長は報道陣の取材に対し、全店舗に対する検査は1週間以内に完了する予定だと語った。

続いて4月17日にも食中毒事件が判明した。

台湾くら寿司 食事客3人がノロウイルス陽性 全店検査で23店が不合格

(台北中央社)回転ずしチェーン、くら寿司の店舗で食事をした客が相次いで食中毒とみられる症状を訴えた問題で、衛生福利部(保健省)食品薬物管理署の呉秀梅署長は17日、体調不良を訴えた3人からノロウイルスの陽性反応が出たと明らかにした。55店を対象に行った立ち入り検査では23店が不合格になったとしている。

呉署長は、医療機関などからこれまでに10件の通報があり、体調不良を訴えた食事客は23人になったと説明。また食材に対して行った検査では現在のところノロウイルスは検出されていないとした上で、環境や人体に対する検査を現在も続けているとした。

呉署長によると、立ち入り検査で不合格となった店舗のうち、21店に対して期日までの改善を命じたという。くら寿司は2店が営業停止になっている。

https://japan.focustaiwan.tw/society/202404170008

つまり今年に入って3月28日、3月31日から4月10日に、同系列の回転ずしチェーン店で食中毒事件があったことになる。

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5月18日、がってん寿司で発生したナメクジ事件(動画閲覧注意)

そして、5月18日にショッキングなニュースが台湾を襲った。台北駅のがってん寿司で巻きずしを頼んだ客が、寿司の上をナメクジが這っているのを見つけ、動画に収めたのである。

5月18日土曜の夜8時ごろ、台北駅で80元相当の花寿司を注文した呉さん夫妻に驚きの出来事が起こりました。3つの花寿司の皿のうち1つを食べて1つを残したところ、黒いナメクジのようなものが現れたのです。これに呉さん夫妻は唖然としました。

ショックを受けた呉さんはすぐに店に通報しました。スタッフは厨房にその物を持ち込み、奥から出てきて謝罪し、品質管理に注意することを約束しました。

呉さんは「スタッフの一人はデザートを出すと言っていたが、態度は冷たく、問題を解決する気はないようだった」と語りました。

その後、店は閉店し、寿司とデザートの合計金額は882元でした。この件について、多くのネットユーザーは「タンパク質を増やすために刺身にナメクジが入っている」と冗談を言いましたが、ナメクジを食べると下痢を引き起こす可能性があると警告する人もいました。ナメクジには寄生虫や感染しやすい物質が含まれているため、生で食べると一生麻痺することもあります。

多くの人が、「これは非常に不快で、すぐに返金すべきだ。別の皿を出しても解決にはならない」とコメントしました。

呉さんは「ナメクジは非常に目立つもので、小さな虫や蚊ではありません。誤って食べたら気持ち悪いし、補償はただのおやつでは不十分だ」と述べました。

呉さんは、本来はスタッフに恥をかかせたくなかったが、食品の安全性が危機に瀕しているため、責任者とコミュニケーションを取りたかったと説明しました。また、関連する製品を厳しく管理し、消費者に配慮するよう気をつけて欲しいと述べました。

文化食品講師の陳俊成氏は、「最大の問題は、キュウリの色がナメクジの色に非常に近いため、見逃された可能性がある。スタッフの注意不足が原因だ」と指摘しました。

北部市衛生局も検査を実施し、食品安全法に違反した場合、最大2億元の罰金が科される可能性があると警告しました。国民には、食品を食べる前に胃腸のケアをするよう注意が呼びかけられています。

https://news.tvbs.com.tw/life/2490668

なぜ台湾で食中毒事件が発生するのか

コロナ禍をきっかけに、日本食チェーン店がたくさん台湾に入ってきました。まず、日本のチェーン店には、そもそも高い衛生管理基準があるであろうという、希望的観点に基づいて考察すると、その基準を「人」が守れていないのか、あるいは「環境」がそもそも日本基準に合っていないという理由が考えられます。

  • 人的要因

日本以外の国に暮らす人は、基本的に生ものを扱うことに慣れていないということを前提に社員教育を進めていく必要があるでしょう。どのくらい慣れていないかというと、日本の常識が通用しないレベルだということです。肉、魚、野菜でまな板や包丁を分けることなんて、たとえマニュアルとして頭に入ったとしても、さっき肉切った包丁で野菜切ってお客さんに出すなんて、たとえその後加熱するとしても、肌感覚レベルで「ヤバイ」とわかる日本人とは違い、一度脳みそを経由しないと「あ、そうか」と気付かないわけです。福岡の天神で屋台の天ぷら屋に行った時に見ましたが、小さいスペースでもすべてのまな板と包丁が肉、魚、野菜に使い分けられておりました。それを大将がおしゃべりしながら脊髄反射で使い分けているのですから、大したものです。

もしも外国の飲食チェーン店のマネージャーとかがこのブログ見てたら、外国で生食系の食事を提供するリスクをヘッジために、決して現地労働者の衛生観念に頼らないでください。日本の常識は彼らの常識ではありません。そして、日本人は外から見て自分たちが「普通」ではないことに無自覚です。あなたたちは外から見て、宇宙人レベルです。

  • 外的要因

外的要因として気候がまず思い浮かぶかもしれませんが、私は現地の食材環境を外的要因に挙げます。台湾で、生食を前提に野菜を栽培することは稀です。台湾で「大陸妹」と呼ばれるレタスは、日本でこそ生食しか思い浮かびませんが、こちらでは加熱調理が前提です。おそらくですが、がってん寿司でお寿司の上を散歩していたナメクジは、台湾産のサニーレタスと一緒にお寿司に巻かれていたのでしょう。

「生食」は常識ではない

「生食」は、子供の頃から骨身に沁み込んでいる衛生観念、流通システム、栽培方法などなど、日本の特殊な人的、外的環境によって支えられているのです。ですから、それが日本以外でも「当たり前」、もしくは「最低これくらい常識でしょう」は、通じないという思考のスタート地点が必要です。もしも、外国でフードコーディネーターや飲食店の衛生管理なんかをしている方がこのブログを見ていたら、一日に三度唱えてください。「生食は世界の常識にあらず」。そう。あなたは世界に非常識を広めている伝道者ということになります。その逆境を乗り越え、安心安全な日本食を海外で広げてくださいませ。よろしくお願いいたします。

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