台湾の夜は独特の活気に満ちている。夜市でのにぎやかさや、街角で響くスクーターの音、そしてどこからともなく漂ってくる美味しそうな匂い。そんな台湾の夜を、友人たちと一緒に楽しむことにしたある日のことだ。雨が降り出しそうな予感を感じながら、どこで夕飯を食べるか相談していた。あっさりしたものをサクッと食べようということで、今回は「素食餐廳」に行くことに決めた。
素食餐廳とは?
素食餐廳(スーシーツァンティン)は、台湾でベジタリアン料理を提供するレストランのことを指す。台湾は素食文化が深く根付いている国であり、多くの人々が日常的に素食を楽しんでいる。その背景には仏教や道教の影響もあるが、健康志向の高まりや環境保護の観点からも、素食の人気は年々高まっている。素食レストランの多くは、バイキング形式を採用しており、自分の好きな料理をトレーに取り、計量して料金を支払うシステムだ。
雨の夜、素食餐廳へ
その夜、私たちが訪れた素食餐廳もバイキング形式のお店だった。店内に入ると、色とりどりの料理がずらりと並び、どれも美味しそうで目移りしてしまう。15元を追加するとご飯が付き、お変わり自由とのことだった。私は、キャベツ炒め、ヤングコーン、空心菜、ナスとバジルの炒め物、湯葉炒め、エリンギの唐揚げ、野菜かき揚げ、茶わん蒸し、キムチとたくあんを選んだ。ご飯を付けて合計で100元ほどだ。
美味しい料理の数々
まず、キャベツ炒めとヤングコーンはシャキシャキとした食感がたまらない。空心菜は台湾の定番料理で、その独特の香りと歯ごたえが魅力だ。ナスとバジルの炒め物は、ナスの柔らかさとバジルの風味が絶妙にマッチしている。そして、エリンギの唐揚げは驚くほどカリカリで、まるで鶏の唐揚げのような食感だが、より軽やかで美味しい。
湯葉炒めも風味豊かで、しっかりとした味付けがご飯にぴったりだ。野菜かき揚げはサクサクとした衣が心地よく、茶わん蒸しは見た目こそバットに流し込んで一度に蒸した「バット蒸し」だが、その出汁の効いた味わいが口の中に広がる。キムチとたくあんはアクセントとして、さっぱりとした味わいを楽しませてくれる。
台湾人と素食
台湾人は肉料理やこってりしたものも好きだが、同時に素食も大好きだ。その理由の一つに、素食は胃に優しく、体に負担が少ないという点が挙げられる。素食レストランで提供される料理は、どれもヘルシーでありながら、しっかりとした味付けがされていて、満足感が高い。また、台湾では素食を楽しむことが一般的であり、街の至る所に素食餐廳があるため、気軽に立ち寄れるのも魅力の一つだ。
食後の楽しみ
ご飯を二杯たいらげ、すっかり満腹になった。しかし、一通り食べ終わっても会話は尽きることがない。楽しいおしゃべりはまだまだ続く。店を出ると、雨はますます強くなっていたが、気にせず向かいの屋台へと向かった。そこで、老闆(ラオバン)に「豆花(ドウファ)」を頼む。豆花は台湾の伝統的なデザートで、柔らかい豆腐にシロップをかけて食べるシンプルながらも美味しい一品だ。
台湾人の明るさ
雨が降っても、台風が来ても、台湾人はその明るさを失わない。その姿勢にはいつも心を癒され、雨の夜を楽しむことができた。素食餐廳での夕飯は、健康的で美味しい料理を楽しむだけでなく、友人たちとの楽しいひとときを過ごす素晴らしい体験となった。
台湾の素食文化は、健康志向の高まりや宗教的な背景、そして環境保護の観点からも注目されている。素食餐廳で提供される料理は、どれも美味しくヘルシーであり、バイキング形式のため自分の好きなものを好きなだけ楽しむことができる。今回の夕飯も、大満足の内容であった。台湾を訪れる際には、ぜひ素食餐廳でヘルシーな料理を楽しんでみてはいかがだろうか。台湾の夜は、素食と共にさらに輝きを増すこと間違いなしだ。
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