ちょっと台湾からはなれて、中国政府は2021年、子供の教育費負担を軽減するために、特に「双減政策(シャオジャンゼンツェ)」と呼ばれる大規模な教育改革を実施しました。この政策は、義務教育の負担軽減と課外活動の抑制を目的としています。特に塾や課外補習に対する規制が強化され、多くの教育関連企業が倒産するなど、大きな影響を与えました。
施策の内容
- 課外教育機関の規制:
- 非営利化:多くの民間の教育機関が非営利組織に変わることを要求されました。
- 新規許可の停止:新しい課外教育機関の設立が禁止されました。
- 授業時間の制限:週末、休日、長期休暇中の学習指導を禁止。
- 学校教育の強化:
- 学校の授業内容の充実:学校内での補習や課外活動を充実させ、学生が学校外での追加教育を必要としないようにする。
- 課外活動の推進:スポーツや文化活動を推奨し、学生の全人的な発展を促進。
罰則制度
双減政策に違反した場合、中国内の教育機関や個人に対して厳しい罰則が設けられています。
- 罰金:違反行為が発覚した教育機関には、高額の罰金が課せられる。
- 運営停止:違反が重大である場合、教育機関の運営が停止されることもあります。
- 個人の責任:責任者や従業員も罰則の対象となり、行政処分や法的責任が問われる場合があります。
塾業界に与えた影響
双減政策の実施により、塾業界は大きな打撃を受けました。多くの塾が閉鎖を余儀なくされ、教育関連の株価は急落しました。一部の大手教育企業は、事業の転換を余儀なくされました。
影響の具体例
- 事業縮小と転換:
- 大手教育企業の多くは、オンライン教育や職業教育、成人教育など、他の分野に事業を拡大する動きを見せました。
- 失業の増加:
- 多くの教師やスタッフが職を失い、教育関連の雇用市場に大きな影響が出ました。
中国外からのオンライン塾講師ビジネスの可能性
中国政府の国内塾廃止政策により、国外のオンライン塾講師、家庭教師ビジネスには新たなチャンスが生まれています。しかし、この市場に参入するにはいくつかの課題があります。
ビジネスチャンス
- オンライン教育の需要:
- 中国の家庭は、依然として高品質な教育を求めており、特に富裕層は海外からの教育資源にアクセスする手段を模索しています。
- 国際的な教育の質:
- 英語やその他の外国語教育、国際的なカリキュラム(IB、APなど)に対する需要が高まっています。
課題と対策
- 検閲と規制:
- 中国政府のインターネット検閲や規制が厳しく、外国企業が直接市場にアクセスするのは困難です。
- 対策:現地パートナーとの提携や、中国国内に拠点を持つことで、規制をクリアする方法を模索する。
- 市場の信頼性:
- 中国の家庭は、信頼性のある教育サービスを求めており、口コミや評判が非常に重要です。
- 対策:現地の教育エージェンシーやオンラインプラットフォームと協力し、信頼性を確保する。
- 技術的課題:
- オンラインプラットフォームの使用における技術的な障壁やインターネット接続の問題がある。
- 対策:ローカライズされた技術ソリューションや、中国のインターネット環境に最適化されたプラットフォームの利用を検討する。
富裕層の親たちの口コミの利用
家庭教師ビジネスが地下活動状態となった現状では、中国の富裕層の親たちの口コミが、国外からの教育サービスを広める上での主要な手段となっています。これは中国の巨大な市場に対しては限界がありますが、現状できる最大限の宣伝方法です。
効果的な口コミの活用法
- エリートコミュニティへのアプローチ:
- 国外に移住している、中国人富裕層が集まるエリートコミュニティや国際学校をターゲットに、直接的なマーケティング活動を行う。
- オンラインレビューとフィードバック:
- 中国のソーシャルメディアや教育関連のプラットフォーム上で、中国外から積極的に口コミを促進する。
結論
中国政府の塾廃止政策は、国内外の教育業界に大きな影響を与えました。しかし、この変化は国外からのオンライン教育ビジネスにとって、個人経営者にも新たなビジネスチャンスを提供しています。検閲や規制という課題はありますが、適切な戦略と現地パートナーシップを通じて克服することが可能です。富裕層の親たちの口コミを利用することで、信頼性を高めつつ、中国の広大な教育市場に訴求する方法を模索することが重要です。
実際のところ、筆者も中国人富裕層の子供を対象にした日本語のオンライン家庭教師を運営しています。今後シリーズで、個人でどのようにオンライン家庭教師業を成り立たせられるかを紹介していきます。
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