一般市民が動画や写真の証拠をもとに、違反者を通報することができる「民眾檢舉」制度。まんまとそれに引っかかってしまった管理人。その顛末とは?
違反通知
ある晴れた日のこと、スマートフォンがピロンと鳴った。お世話になっているレンタルバイクの貸主からのLINEメッセージだ。いつもは「調子はどう?」とか「オイル交換の時期だよ」とかいう内容がほとんどだから、特に驚くこともなくメッセージを開いた。
「あんたの違反金請求がきてるで。」
一瞬、目が点になった。「え?何それ?」と返信すると、貸主はさらに追い打ちをかけるようにこう言った。
「誰かドラレコで撮ってたのを通報したみたい。」
これは予想外の展開だった。思わず「ええ~?わかった。取りに行くわ」と返事を打つと、心の中で「ドラレコ?俺、何かやらかしたっけ?」と自問自答しながら取りに向かった。
その通知書には、見覚えのある後ろ姿が写ったドラレコ画像が3枚添付されていた。そしてナンバープレートも間違いなく自分のバイクだ。
「あ~、これだよ、これ。ウィンカー出さずに丁字路を左折していくところがバッチリ写ってる。誰がこんなん通報したん?ヒマだね~。」貸主は半ば呆れ顔で言う。
違反金支払い
通知書には違反金額がしっかりと書かれていた。1200元、日本円にして約5600円。痛い出費だが、やったことは認めるしかない。
「ごめんね、確認してなかったわ。」と頭を下げると、貸主は「ま、気をつけなよ」と笑って肩を叩いてくれた。
そして私は、意気消沈しながら近くのコンビニに向かった。違反金を支払うためだ。コンビニの店員は、私が手に持つ違反通知書をちらっと見て、何も言わずに支払いを済ませてくれた。おとなしく1,200元を支払い、レシートを手にした瞬間、少しだけ笑ってしまった。
「こんなことで捕まるなんて、まったく…」と呟きながら、バイクにまたがって家に向かう途中、再び心に決めた。「次は絶対にウィンカーを忘れないぞ」と。
だが、その後も何度かウィンカーを出し忘れそうになり、慌てて出す自分に気づくたびに、今回の出来事が頭をよぎる。
思えば、ウィンカーを出し忘れるのは自分だけの問題ではなく、他のドライバーにも迷惑をかける可能性がある。それに気づかされたのは痛い出費と引き換えだったが、少なくともこの経験を通じて少しは慎重になれた気がする。
それにしても、ドラレコで通報されるなんて。「民眾檢舉」。時代も変わったものだ。今では簡単に証拠として提出される。いやはや、台湾も世知辛い世の中になったものだと思いながらも、安全運転を心がける日々が続くのであった。
そして、貸主は「かわいそうだったね。今度1200元分ご飯奢ってあげるよ」と声をかけてくれる。その優しさが台湾人。
こんな小さな失敗から学ぶこともある。誰もが一度は経験するかもしれないウィンカーの出し忘れ。しかし、それが原因で違反金を払う羽目になった私の話が、少しでも誰かの教訓になればと思う。
さて、この「民眾檢舉」の制度だが、貸主と同じく、「誰がこんなヒマなことするん?」って思う台湾人も多く、さらに問題も発生している。次はその問題点なんかもリポートしようと思う。
皆さん、ご安全に。
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