BlackPink,Coldplayが選んだのは高雄だった。そこから見える、官民一体の集客戦略

台湾コラム
スポンサーリンク
trip.com

韓国の人気グループ、BlackPink。UKポップロックバンドColdplayがライブ会場に選んだのは、台北ではなく、意外なことに高雄だった。このニュースは、高雄市政府と民間企業の共同努力による集客戦略の成功を再確認させるものです。これまで、国際的なアーティストは台北を第一候補とするのが常でしたが、最近ではBlackPinkやColdplay、Ed Sheeranといったアーティストたちが高雄を選ぶことが増えています。これには、会場の利便性と市政府の綿密な計画が大きく寄与しています。

高雄の選ばれる理由

高雄は、会場の規模や環境が魅力の一つです。国立競技場は通常40,000席ですが、最大で55,000席まで増やすことができる柔軟性があります。また、高雄市政府はデータに基づいて交通手段やトイレの配置を計画し、観客に快適な体験を提供しています。これにより、会場の使用料は徴収しない一方で、ホテルや飲食店などの収益は大きく向上しています。

経済効果の測定と実績

昨年、高雄にはさまざまな県や都市、さらには海外から約140万人の訪問者がありました。これにより、公演期間中に約45億元の観光収益が生み出され、宿泊・飲食業界の年間売上高は929億元に達し、過去最高を記録しました。こうした経済効果は、高雄市政府の統計により裏付けられています。

データ活用とインフラ整備

高雄市政府は、コンサートの成功にはデータの活用が不可欠であると認識しています。観客の男女比や年齢層を分析し、それに基づいてトイレの配置を調整するなど、細かな配慮が行われています。例えば、BlackPinkのコンサートでは観客の7割が女性であったため、既存のトイレを全て女性用に変更し、男性用トイレは移動式トイレで対応しました。

帰宅ルートの効率化

高雄市政府は、帰宅ルートの効率化にも力を入れています。交通局や高雄MRTなどの部門からのデータを統合し、最も効率的な退場モードを確立しました。これにより、5万人の観客を退場させる時間は、以前の2時間から50分に短縮されました。これは、スマート交通システムと連携した結果であり、ファンがコンサート後にどこで飲食し、お金を使うのかも分析されています。

ナイトエコノミーの推進

高雄市政府は、「ナイトエコノミー」の推進にも力を入れています。コンサート終了時間が午後10時頃であるため、多くの観客が一晩泊まることになります。これにより、地元の宿泊施設や飲食店に大きな経済効果がもたらされます。さらに、コンサートチケットをアルコール飲料ではなく地元商店や夜市の引換券と交換することで、地元経済の活性化も図られています。

日本の観光資源活用の問題点

日本の観光資源活用には、官民の一体感の欠如が大きな問題として浮上しています。政府は観光立国を掲げて観光客誘致を進めていますが、その実態は地方自治体や地元の事業者に任せる丸投げ状態です。政府が掲げる大きなビジョンに対して、具体的な施策やサポートが不足しており、現場の負担が増大しています。

台湾の高雄市は、アイドルグループ「五月天」のライブを活用して、15年間にわたるノウハウの蓄積と改善を続けてきました。高雄市政府は、データに基づいた交通手段の調整やトイレの設置、帰宅ルートの効率化など、細かな配慮を徹底しています。結果として、BlackPinkやColdplayのような国際的アーティストのライブも混乱なく開催できています。このような継続的な取り組みが、高雄を魅力的な観光地として成長させています。

一方、日本では、突然の観光立国宣言がもたらすオーバーツーリズムの問題が顕在化しています。観光客の急増により、京都や富士山などの観光地では、インフラの整備や住民との共存が追いつかず、地域社会に負担がかかっています。具体的なデータ分析や計画的なインフラ整備が不足しており、結果として地域住民の生活環境の悪化や観光客の満足度低下を招いています。

日本の観光資源活用の改善には、官民の一体感を高めることが不可欠です。政府は旗を掲げるだけでなく、具体的な支援策を講じ、地元との連携を強化する必要があります。データに基づいた計画的な観光地の管理と、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが求められています。高雄の成功事例から学び、日本の観光資源活用に生かすことが重要です。

まとめ

BlackPinkの高雄ライブは、高雄市の官民一体の集客戦略の成功を証明するものです。データに基づいた計画、インフラの整備、ナイトエコノミーの推進など、多岐にわたる取り組みが功を奏しています。高雄市政府と民間企業の協力により、高雄は国際的なコンサート開催地としての地位を確立しつつあります。今後もこの戦略を進化させ、さらなる成功を収めることが期待されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました